『歯ぎしり』が引き起こすトラブルについて
2021年12月30日
こんにちは!
アス横浜歯科クリニック歯科助手の二宮です。
今回は、『歯ぎしり』が引き起こすトラブルについてお話したいと思います。
そもそも歯ぎしりとは?
➡上下の歯が非機能的な接触を生じている状態を言います。
では歯ぎしりの種類にはどのようなものがあるのでしょうか? 睡眠時と日中時の4つを紹介します。
◆睡眠時(眠りが浅いレム睡眠時の交感神経が活発なタイミングで起こる)
①グランディング【上下の歯と歯を左右に擦り合わせること】
②タッピング【カチカチと咬み合わせる】
③クレンチング【垂直の咬みしめ、1か所で咬みしめること】
上記のような歯ぎしりは誰でも行なっています。 問題はその程度(強さ、頻度及び持続時間)
です。
特に夜間の歯ぎしりは無意識に非常に強い力で行う場合があり、歯が移動したり動揺することがあります。
そして、筋肉に障害が及ぶ場合は「筋肉痛・口が開かない・頭痛」などが引き起こされる可能性があり、顎関節に障害が及ぶ場合は「咬み合わせがずれる・顎関節で音がする」などの症状が起こる可能性があります。
つまり、歯ぎしりを行なった結果として、歯だけでなく、筋肉や顎の関節、さらには咬み合わせにまで障害が起こってしまうのです。
◆日中時
④TCH(Tooth Contact Habit)【歯の接触癖】
昼間に弱い力で無意識に歯ぎしりをしていることもあります。 この場合には咬みしめの事が多いようです。通常は上下の歯の間には前歯で2㎜程度の隙間があります。 上下の歯は通常は接触していません。
【歯ぎしりが引き起こす歯へのリスクとは!?】
強い歯ぎしりは、歯の亀裂を生じます。歯の頭の部分に亀裂が生じると、歯が欠ける原因や亀裂に細菌が入り込み、虫歯の原因にもなります。
歯の根に亀裂が生じると歯を抜かなければならなくなります。歯が割れなくても歯の周りの骨膨らんでくることもあります。
歯ぎしりと呼べないような弱い力であっても上下の歯を持続的に接触させたりすると、歯の周りの組織にストレスが加わり、歯周病にもなりやすくなります。
また、筋肉が疲労して顎の付近の疼痛や疲労感、更には頭痛の7~8割を占める緊張型頭痛も起こる可能性まであります。
【正しい歯の接触時間】
本来は食事等の時にしか上下の歯は接触していないのが健常な状態で、1日の中での接触時間は20分以内と言われています。
TCH(歯の接触癖)のサイン見逃していませんか? 舌のポジションで確認してみましょう!!
◎理想的な舌ポジション
舌先がスポット(赤丸の位置)に触れている。舌先だけではなく、舌全体が上に持ち上げられて広い面積で口蓋に触れている。臼歯は触れず、ほんの少し離れた状態。
✕よくない舌ポジション
舌先が下の前歯の後ろに触れている。
舌ポジションは‟低位舌”となって臼歯が触れて咬合状態。
【当院での対策】
・顎関節症対策として、咬み合わせの調節(擦り合わせたときに引っかかりのある所を調整)
・スプリント療法(夜間専用のマウスピースを作成し、歯の接触を避ける)
・被せ物の治療(咬み合わせの調整だけでは対応できない時、被せ直しの必要があります)
・矯正(全体的な咬み合わせのバランスが悪い時には、お勧めします)
「歯ぎしりくらい大丈夫」と考えていると、気付かないうちに大切な歯や顎が大きなダメージを負ってしまうかもしれません。歯ぎしりの症状に心当たりのある方はしっかりと対策をして、いつまでもお口の健康を保っていきましょう!
参考文献
・歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020
https://www.jda.or.jp/park/trouble/bruxism03.html